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第48回定時総会 会長開会ご挨拶


第48回定時総会 会長開会ご挨拶 

2022年 6月16日
                                      北海道経済連合会
                                      会長 真弓 明彦

 第48回定時総会の開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、ご多用の中、多くの会員の皆様にご出席を賜り、誠に有難うございます。そして、皆様には平素より当会の活動にご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 また、本日は、ご来賓として鈴木直道知事にご臨席いただいております。鈴木知事には、ご公務で大変お忙しい中、ご臨席賜り、光栄に存じますとともに、深く感謝申し上げます。 

 本定時総会につきましては、新型コロナ感染拡大により、一昨年・昨年と2年続けて、書面での開催とさせていただきましたので、3年振りのリアル開催となります。
 ここで、ご挨拶申し上げる前に、皆さまにご報告がございます。すでにご承知かと思いますが、当会名誉会長の南山英雄氏が昨年12月2日に、同じく名誉会長の泉誠二氏が今年2月15日に、ご逝去されました。これまでのお二方のご貢献に深く感謝申し上げますとともに、ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 さて、この1年間を振り返ってみますと、新型コロナ感染拡大によって、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が長期に亘り継続し、加えて、赤潮被害、記録的な大雪、さらにはロシアのウクライナへの軍事侵攻や円安といった悪化要因が次々と重なり、道内経済は基幹産業の「観光」と「食」を中心に、幅広い業種で大きなダメージを受け続けた1年でありました。ようやく、外国人観光客の段階的な受け入れや、各種イベントの再開など明るいニュースが聞こえ始め、経済回復に向けた兆しが見えてきた一方で、原油や原材料、資材価格の高騰が継続しております。生産コストの上昇に対する価格転嫁が難しい一次産業事業者や中小企業の経営に、深刻な影響が生じてきており、景気の減速につながることが、強く懸念されるところであります。 

 一方、コロナ禍にあって、「デジタル化の加速・DXの推進」「東京一極集中是正の活発化」「カーボンニュートラル・ゼロカーボン北海道への挑戦」など、パラダイムシフトともいえる変革も生じてきております。 

 当会では、これらの動きを、企業や人を北海道に呼び寄せ、道内経済や産業を活性化させるチャンスと前向きに捉え、戦略的に取り組むべく、2050年の「望ましい北海道」を「ありたい姿」として描き、2030年をマイルストーンとし、それまでに目指すべき「6つの目標」と「47の取り組み項目」を示した、「2050北海道ビジョン」を昨年6月に公表いたしました。 

 北海道は、人口減少が全国より10年早く進展し、それに伴う課題が顕在化しつつある「課題先進地域」と言われておりますが、この課題を後ろ向きに捉えるのではなく、いずれ他都府県や世界でも生じてくる課題の解決を、北海道が先進的に実現し、「北海道モデル」として訴求・発信できる「課題解決先進地域」のフロントランナーを目指すべきと、本ビジョンでは訴えさせていただいております。 

 本ビジョンの公表以降、多くの方々・機関から賛同のお言葉や、様々なご意見もいただいておりますが、会員の皆さま、そして道内各地域の関係機関の皆さまと、「北海道の明るい未来を創る」という思いを共有しながら、小さな成功事例を積み重ね、課題解決を進めていきたいと考えております。 

 本ビジョンを柱とした今年度の事業活動計画につきましては、後ほど審議事項の第3号議案として事務局からご報告いたしますが、私の方から6つの重点目標のポイントについて、簡単にご説明申し上げたいと思います。 

 まず、「withコロナにおける経済活性化に向けた取り組み」であります。
 長期に亘るコロナ禍、燃料費・原材料費の高騰や急激な円安により、大きな打撃を受け、必死に事業継続や雇用維持に取り組んでいる事業者の皆様をお支えするため、これまで切れ目のない対策や経済回復に向けた施策の実施などについて、機会ある毎に、政府・与党、北海道などに対して強く訴えて参りました。
 今後も、道内経済の状況を注視しつつ、会員の皆様や他の経済団体とも連携し、経済回復に向けた現場重視の施策を、継続的かつ効果的に展開するよう要望活動を進めて参ります。 

 2点目は、「ゼロカーボン北海道の推進」であります。
 昨年に続き、今年の政府の骨太方針にも「ゼロカーボン北海道」が明記され、我が国のカーボンニュートラル実現に向けて、北海道には大きな期待が寄せられております。
 当会では、昨年6月以降、要望活動に加え、他団体との勉強会や調査活動などを行っておりますが、取り組みを強化すべく、今年4月1日、新たに「ゼロカーボン推進グループ」を設置いたしました。
 本グループでは、脱炭素化の促進によって、地域の課題解決や北海道のブランド価値向上につながる、事業やビジネスなどの検討を進めており、「ゼロカーボン北海道」の司令塔である北海道、そして環境省北海道地方環境事務所などとの連携を深め、産学官金「オール北海道」の力を結集し、精力的に取り組んでまいります。 

 3点目は、北海道の稼ぐ力の柱である「観光」と「食」についてであります。
 「観光」につきましては、需要の回復に向け、関係人口や観光消費額の増加を目指した施策を積極的に展開するとともに、本日の記念講演会のテーマであります、「2030年北海道・札幌冬季オリンピック・パラリンピック大会」の招致活動、そして来年北海道で開催されます「アドベンチャートラベル・ワールドサミット」への支援・推進活動にも取り組みます。
 「食」に関しましては、道内外の食関連団体、経済団体などとの連携強化、食品製造現場のスマート化、輸出拡大に向けた支援などに取り組んでまいります。また、「食の自給率向上」が大きく取り上げられる中、農業団体とも連携し、生産性向上に資するスマート農業技術の導入推進、生産と消費拡大に向けた方策や要望項目などの検討を進めてまいります。 

 4点目は、北海道の新産業として大変有望な分野と考えております「宇宙産業」であります。
 これまでも大樹町のスペースポート整備事業、SPACE COTAN株式会社の取り組み支援などを進めて参りましたが、今後の宇宙関連産業の道内集積、6次産業化を目指すべく、今年1月にプロジェクトチームを立ち上げました。「宇宙版シリコンバレー」の創出に向けたアクションプランを策定し、今年度公表する予定でおります。 

 5点目は、「人材の育成と確保」であります。
 大きな課題である「将来を担う人材の育成・確保」に向け、会員企業を対象としました、デジタル人材や経営人材の育成プロジェクトを実施するほか、次代を担う学生の育成や地元への定着、さらには道外からのUIJターン・移住の推進にも取り組んでまいります。 

 6点目は、他府県に比べ見劣りする「社会資本の整備」であります。
 地域の経済・産業を支え、人口を維持するのに必要なインフラであることに加え、北海道の稼ぐ力である「観光」と「食」を支え、そして「災害に対するレジリエンス強化」の観点から、迅速かつ確実な推進が必要であり、引き続き強く要望して参ります。加えて、物流の効率化・コスト低減につながる「第二青函多用途トンネル」の実現に向け、活動を進めてまいります。 

 以上、縷々申し上げて参りましたが、北海道には、解決しなければならない課題が山積しております。一方で、国内外に対して誇れる「ポテンシャル」や「強み」が沢山あります。特に、ウクライナ情勢を背景とし、我が国の食料やエネルギーの自給率向上が叫ばれる中、食料供給基地そして再生可能エネルギーの宝庫である北海道の持つ「ポテンシャル」と「役割」は、極めて大きくなってきていると言えます。今後、国レベルで我が国の安全保障に果たす北海道の位置付けや役割が議論され、再認識され施策に反映されることを期待しているところであります。 

 当会としましても、北海道のポテンシャルを存分に活かし、北海道の明るい未来を創り上げるためにも、会員の皆様はもとより、北海道はじめ行政機関、他の経済・産業団体、大学・研究機関など、関係する多くの皆様との連携を深め、共に考え・実行することが必要であり、小さくとも成功事例や実績を着実に積み重ねていくことが大切であると考えております。 

 本日ご出席の皆様には、当会の事業活動につきまして、引き続きご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。 


                                            以上