2023年頭 会長ご挨拶
2023年1月4日
年頭にあたって
北海道経済連合会
会長 真弓 明彦
新年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、当会の事業活動に対し、格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年の道内経済は、長引くコロナ禍に、ウクライナ情勢や円安を背景とした燃料・原材料価格の高騰などが重なり、基幹産業の「食」と「観光」を中心に、幅広い業種で大変な打撃を受け続けた一年でありました。
行動・入国制限の緩和、経済対策によって、観光客も戻りつつあるなど明るい兆しも出てきておりますが、急激な物価高騰により、あらゆる業種で経営に深刻な影響が生じており、また、ゼロゼロ融資返済時期の到来や人手不足も大きな課題となっております。
本年も、必死に事業継続に取り組む事業者の皆様をお支えし、道内経済の早期回復を図るため、効果的かつ切れ目のない施策の実行を、国や北海道などに強く訴えて参ります。
一方、コロナ禍やウクライナ情勢を契機に「DX推進」「東京一極集中是正」「ゼロカーボン北海道」、そして「GX推進」「食料とエネルギーの安全保障強化・自給率向上」など、北海道の将来を大きく変え得る動きも生じております。
これらを、北海道の持つ多くのポテンシャルを活かしながら、持続可能な未来を創り上げていくチャンスと捉え、afterコロナを見据えた取り組みを戦略的に進めることが大変重要であります。
当会では一昨年6月、「2050北海道ビジョン」を公表し、その通過点である2030年に向けて「オール北海道」で取り組むべき目標と具体的方策を提言しましたが、昨年はビジョン実現に向けた活動を、足元の事業計画に組み入れて進めたスタートの年でありました。
北海道は人口減少が全国よりも早いスピードで進行し、労働者や後継者不足、交通弱者などの課題が顕在化してきております。こうした背景を踏まえ、本年は、課題解決や稼ぐ力の向上につながる事業活動を、「スピード感」を意識して精力的に推し進めて参ります。
基幹産業である「食」分野においては、食料供給基地としての役割と責任が大きくなっていることから、直面する労働力不足の克服や生産性向上に資する「スマート農業」の実装化、担い手確保など事業者支援の取り組みを着実に進めます。
「観光」分野では、本年9月に開催される世界大会（ATWS）をはじめとする体験型・滞在型観光「アドベンチャートラベル」の推進、ワインや日本酒などの「道産酒」と「観光」の連携にも取り組みます。
昨年12月、政府のGX実行会議で、エネルギー安定供給と脱炭素に向けた方向性が打ち出されました。北海道は再エネの賦存量が全国随一で、我が国のエネルギー安全保障と脱炭素に貢献できる地域であり、政府の骨太方針に2年連続組み込まれた「ゼロカーボン北海道」の構築を目指し、新たな取り組みを含めて活動を積極的に推進します。
活動にあたっては、「脱炭素と地域経済の好循環」をスローガンに、新たなビジネスや事業を作り出す「事業化プロジェクト」活動を推し進め、また、100％再エネで事業を進めようとする道外企業の誘致や道内企業への支援活動などにも取り組みます。さらに、4月に札幌市で開催されるG7気候・エネルギー・環境大臣会合に協力していきます。
北海道の未来を担う「人材」に関しては、デジタルを活用し企画・実行できる人材、農業や食産業分野で活躍する専門人材、地域に貢献できるリーダー人材などの育成に、産学官連携のもとで取り組みます。
MaaS（交通とサービスの連携）や自動運転などデジタルを活用した地域づくり、また、北海道新幹線札幌延伸、高規格道路ミッシングリンク解消、第二青函多用途トンネルの早期実現をはじめとする地域を支える様々な社会資本の整備にも注力します。
北海道は、四季を通じてスポーツを楽しめる地域であります。当会では、「スポーツ」を新たな稼ぐ力と据え、「スポーツアイランド北海道」と名付けて、トップアスリート育成を目指す冬季版ハイパフォーマンススポーツセンター設置や、国内外のスポーツ大会や合宿の誘致に向けた活動などを進めます。
北海道の成長産業として期待している「宇宙産業」分野では、大樹町のスペースポート整備事業の支援を継続するとともに、宇宙産業の6次産業化（＝道内への集積）に向けてアクションプランを策定し、その実行を図っていきます。
様々な課題が山積しておりますが、北海道の明るい未来の実現に向けて、本年も会員の皆様はもとより、道内外の企業や経済団体・産業団体、大学・研究機関、行政など様々な皆様との連携を深め、旗振り役・コーディネイト役として、スピード感を持って活動を推し進めて参ります。引き続き当会の事業活動に対するご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
会員の皆様の本年一年間のご健勝とご繁栄を祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。