2024年頭 会長ご挨拶
2024年1月5日
年頭にあたって
北海道経済連合会
会長 藤井 裕
新年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
元日に発生した「能登半島地震」でお亡くなりになりました方々へ謹んでご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまへ心よりお見舞いを申し上げます。また、2日には羽田空港において、旅客機と被災地に物資搬送中の海上保安庁の航空機が衝突するという痛ましい事故もありました。
日本中が多くの悲しみに包まれる中、新たな年を迎えることになりました。この悲しみを乗り越え、被災された皆さまには一日も早く日常を取り戻されますようお祈り申し上げます。
さて、昨年は新型コロナの5類移行を契機に様々なイベントが再開され、また、ラピダス社による次世代半導体工場の建設や北海道ボールパークFビレッジの開業などのトピックスもありました。
一方、物価高騰や中国による日本産水産品の輸入停止、労働力不足なども重なり、事業者は厳しい状況が続いています。これらの課題に対し、引き続き事業者の皆さまのお役に立つよう、支援・要望活動にしっかりと取り組んで参ります。
昨年6月に当会会長に就任してから半年あまりが経ちました。その間、道内、国内外の多くの方々とお会いする中で、北海道は様々な課題がある一方、豊かな自然、食、観光、全国随一の再エネ賦存量など、希望・夢・チャンスの宝庫だと確信しました。
当会は、2021年に「2050年の望ましい北海道(ありたい姿)」を設定し、「2050北海道ビジョン」を公表しました。現状の「課題先進地域」から、「課題解決先進地域」のフロントランナーを目指したものです。結果にこだわりスピード感をもって引き続き活動を進めて参ります。
2024年に重点的に取り組む主なトピックをご紹介いたします。
ラピダス社の建設工事をはじめ、次世代半導体関連産業の集積もスピードを上げ進展するでしょう。北海道新産業創造機構(ANIC:エイニック)が昨年11月にラピダス社の工場立地に伴う道内への経済波及効果のシミュレーションを公表しましたが、23~36年度の14年間で最大18兆8千億円になると算定しています。北海道にとってかつてないビッグプロジェクトです。円滑な立地支援とともに道内企業とのマッチングに取り組み、一つひとつしっかり成果を積み上げていきたいと思います。
当会では昨年12月に、宇宙版シリコンバレーの実現に向けたアクションプランを策定しました。大樹町はロケットの打ち上げで非常に優位性が高いエリアです。ここでスペースポートの整備、周辺でのものづくり産業の集積、打ち上げで得る衛星データの農林水産業やインフラ保全など多様な分野での活用を目指し、2030年に設定した目標に向け取り組みを支援し、北海道の様々な社会課題の解決、経済活性化につなげていきます。
脱炭素と地域経済活性化の好循環や持続可能な地域づくりを目指す「ゼロカーボン北海道」の実現に向けた取り組みを、オール北海道で推進していきます。
昨年6月、世界中からGXに関する情報・人材・資金を北海道・札幌に集積する「国際金融センター」の実現に向けて、産学官金からなるコンソーシアム「Team Sapporo‐Hokkaido」が設立されました。当会も構成機関として2つのワーキンググループ、1つのプロジェクトに参画しています。引き続き、スピード感を持ってしっかり取り組んでいきます。
北海道のあるべき交通と観光の在り方の構築を目指し、『交通と観光の共創による北海道MaaS構築』に向けた事業に取り組み、ネットワークづくりと知見の蓄積、人材の育成を図り、今後の実証・実装へとつなげていきます。
幅広い分野で人手不足が深刻化しています。未就労の女性、高齢者、障がい者など潜在的な人材の掘り起こしと、外国人材受け入れへの環境整備が必要です。
また、今年からはいわゆる2024年問題に対応していく必要があります。特に影響が大きいとされる物流、建築業界の支援に向け、労働環境(働きやすさ)の整備や業務効率化のためのDX推進など、関係機関とともに最大限取り組んで参ります。
併せて、今年はデフレ脱却に向け「物価上昇に負けない賃上げ」実現への期待がこれまで以上に高まっていることも踏まえ、対応を検討していく必要があると認識しています。
以上、2024年の主な取り組み事項をご紹介いたしました。今年3月には国土審議会の「第9期北海道総合開発計画」が閣議決定される予定です。この計画も踏まえ、北海道の価値を最大化するため、「共に北海道の未来を創る」取り組みを進めて参ります。
当会は1974年に発足し、今年12月に50周年を迎えます。創立以来、一貫して「産業経済社会に関する諸問題を調査研究・討議し、北海道における経済界の総意を取りまとめてその実現を図り、地域経済社会の総合的な振興を通じて、わが国経済社会の発展に寄与する」ことを使命としております。北海道は今、千載一遇のチャンスが到来しています。このチャンスをしっかりと掴むため、果敢にチャレンジして参りますので、引き続き、当会の事業活動に対するご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
会員の皆さまの本年一年間のご健勝とご繁栄を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。