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第50回定時総会 会長開会ご挨拶


第50回定時総会 会長開会ご挨拶 

2024年 6月11日
                                      北海道経済連合会
                                      会長 藤井 裕

 第50回定時総会の開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、大変ご多用の中、多くの会員の皆さまにご出席を賜り、誠に有難うございます。また、平素より当会の活動にご理解とご協力をいただいておりますことに、厚くお礼申し上げます。三橋副知事には大変お忙しい中、ご臨席を賜り、深く感謝申し上げます。

 さて、北海道経済は、コロナの5類移行を契機に、国内外の観光客が増加に転じ、関連需要も回復傾向となるなど、明るい兆しが見えてきています。
 一方、労働力不足の深刻化、物価の高騰など、依然として厳しい経営環境が続いています。中でも北海道の最大の課題は「人口減少」です。このままでは経済活動の大幅な縮小、産業の喪失、雇用の減少、さらには、人口流出へとつながり負のスパイラルとなって、企業や地域の存続が危ぶまれる厳しい事態になるものと想定されます。若者が子育てに幸せを感じられる社会環境の整備が必要ですが、差し迫っての人材確保策としては、女性、高齢者、外国人、障がい者等の多様な人材が労働参加できる働く環境の制度整備が不可欠であります。これらの課題に行政をはじめ関係団体と連携して粘り強く取り組んでまいります。

 そのような中、「GX・ゼロカーボン北海道」「食料やエネルギー安全保障の強化」「DX・デジタル化」、そして、「ラピダス社の次世代半導体工場の千歳市への進出」など、北海道の将来を変え得る、大きな動きが生じてきています。
 特に、次世代半導体工場は、北海道にとって過去最大の投資案件であり、北海道の新たな基幹産業となりうる巨大プロジェクトです。
 当会では昨年、「一般社団法人北海道新産業創造機構」(ANIC)や「北海道次世代半導体産業プラットフォーム」を創設し、支援に取り組んでいるところです。次世代半導体工場の立地による経済波及効果を全道に広げることに加え、道内各地域がそれぞれに持つ、食・観光・宇宙産業・再生可能エネルギー等の強みを有機的に結合させることで、北海道全体の均衡ある発展につなげていくことが重要と考えております。

 当会では、2021年に「2050北海道ビジョン」を公表しました。マイルストーンとしている2030年には、「稼ぐ力」が大きく向上し、北海道発の未来産業が創出され、多くの企業やチャレンジ人材が集い、我が国の脱炭素実現にも大きく貢献している姿を描いています。
 折しも、国の「第9期北海道総合開発計画」がスタートし、また、道においては「北海道総合計画」や「北海道創生総合戦略」の改定が進められていますが、これらは、当会の「2050北海道ビジョン」と課題認識やありたい未来像を共有していただいていると考えています。ありたい未来像の実現に向けては、産学官金が一致団結してアイディアを出し合い、取り組みを進めていくことが不可欠です。
 こうした基本認識のもと、当会では会員の皆さまのご意見をもとに要望活動を行い、また、会員の皆さまの事業をお支えする活動を進めてまいります。

 今年度は、ただ今申し上げました、道内経済の現状や考え方を踏まえ、事業計画に6つの重点項目を掲げました。後ほど、審議事項の第3号議案として事務局からご説明いたしますが、私から、幾つかのポイントについてご説明申し上げます。

 まずは、「GXの推進」についてです。
 再生可能エネルギーの賦存量が全国随一の北海道は、我が国のエネルギー安全保障や脱炭素に貢献できる地域であります。「ゼロカーボン北海道」を実現するためには、CO2を排出しない原子力や水力などの既存電源を活用してエネルギー供給の安定化を図りながら再生可能エネルギーの導入を拡大していくことが重要です。
 当会としましても、引き続き「脱炭素と地域経済の好循環」を念頭に、取り組んでまいります。
 また、GXに関する情報・人材・資金が北海道・札幌に集積する「アジア・世界の金融センター」の実現に向けて設立されたコンソーシアム、「Team Sapporo-Hokkaido」に参画し、各団体と協力し、精力的に取り組んでまいります。
 折しも、先日、北海道・札幌市が「金融・資産運用特区」ならびに「国家戦略特区」に選定されました。今後は、これを最大限に活かすため、当会においても産学官金で連携し、投資の呼び込みに必要な、制度・環境の整備や事業誘致などを積極的に進め、北海道全体の持続的発展に貢献できるよう、取り組んでまいります。

 2点目は、「次世代半導体産業の集積」についてです。
 当会では、先ほど申し上げましたANICを中核とし、ラピダス社や半導体関連企業の円滑な立地支援、半導体人材の確保・育成、道内企業との取引強化など、これからも様々な活動、取組みを実施してまいります。
 ご承知の通り、ラピダス社は来年4月にはパイロットラインの稼働、2027年には量産を開始する予定となっております。今年は、工場建屋が竣工の予定であり、半導体製造装置メーカーも続々と千歳市に入って来るなど、稼働に向けたタイムラインにおいて、重要な年となります。我々も、様々な案件に対して、迅速かつ積極果断に取り組みを進めてまいります。

 3点目は、「食」・「観光」・「スポーツの振興」に関する取り組みについてです。
 「食」に関しては、食料自給率の向上に資するべく、農業団体などとも連携し、直面する労働力不足の克服や生産性向上に寄与する「スマート農業」の現場導入、道産食品の付加価値向上や輸出拡大に向け、取り組みを進めてまいります。
 「観光」分野に関しては、観光需要の創出に向けた各種取り組みを進めるとともに、北海道の特色を生かした体験型・滞在型観光「アドベンチャートラベル」の拡大などに取り組んでまいります。合わせて、「スポーツアイランド北海道」を新たな柱とすべく、冬季版ハイパフォーマンススポーツセンターの設置や、国内外のスポーツ大会や合宿など、スポーツMICEの誘致に向けた取り組みを進めてまいります。

 4点目は、「DXの推進」についてです。
 課題先進地域である北海道においては、様々な分野でDXを推進していく必要があります。昨年度から、北海道のあるべき交通と観光の姿として「北海道MaaS」の構築を目指しており、2025年度以降の実証・実装へと繋げていきます。
 また、デジタル技術の集大成ともいうべき「宇宙産業」は、裾野が広く成長産業として期待できることから、大樹町のスペースポート整備事業の支援を継続するとともに、昨年度、当会で策定しましたアクションプランを踏まえ、「宇宙開発の6次産業化」を推進してまいります。

 最後に、社会資本の整備と強靭化の推進についてです。
 広域分散の北海道において、北海道全体がバランスよく成長を続けていくために、物流機能の維持、北海道新幹線や高規格道路の整備促進に対する取り組みを進めてまいります。また、巨大地震や津波などの激甚災害に備えた対策・整備は、地域のレジリエンス強化に極めて重要と考え、引き続き対応してまいります。

 以上、2024年度事業計画のポイントにつきまして、申し上げました。

 今、北海道には新たな風が吹いています。次世代を担う人材育成をはじめ様々な課題に、スピード感を持ちながら、積極果敢に取り組み、会員の皆さま、行政機関の皆さま、道内外の企業や経済団体、大学・研究機関など、関係する多くの皆さまとの結束をより強固なものとしながら、北海道の明るい未来を創り上げてまいりたいと考えております。
 皆さまには、当会の事業活動につきまして、引き続きご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。 

以上